このページはジョン先生の How to Sing Beautifully を翻訳し、先生から直接お聞きした情報も加え補足したものです。
まず右図で「声帯」「軟口蓋」および「咽頭」の位置を確認しておきましょう。「軟口蓋」とは、口蓋垂(俗称のどちんこ)の下がっている柔らかい組織のことを指します。「咽頭」とは、喉仏のある部分です。
特に大切なポイント
- 胸を引き上げ胸骨を広げ、下腹部から上を「完全に」リラックスさせる
- 胸骨は動かさず、下腹部から深い静かな息をする
- 軟口蓋を上げ、明るく響く声を、上の前歯に当てるように出す
- 高音を歌うときは、雄大な景色を見下ろす感じで
1. 胸を引き上げ、胸骨を広げ、下腹部から上を「完全に」リラックスさせる胸を引き上げ、胸骨を広げます。頭上のりんごを取るかのように手を伸ばした後、胸はそのままで吊られたような姿勢を保ちながら、腕だけ下ろします。ちょうど船首像のような感じで。
- 肩を後に引き、右手と左手に持っている重いかばんを床にどさっと下ろすような感じで、肩を落とします。
- 腰は横から見て直線になるように、恥骨を少し前に出し、おしりの穴を下に向けるような感じで。
- 歌うときの姿勢で一番大切なことは、首や声帯に力を入れないようにすることです。そのためには、あごを引き、咽頭を低くし、舌、顔全体(特に眉毛)をリラックスさせます。舌先は、できるだけ下の歯の根元に当ててリラックスさせます。舌を緊張させると、声帯を知らないうちに緊張させてしまいます。
2. 胸骨は動かさず、下腹部から深い静かな息をする
- 下腹部の腹筋だけを使って、深く静かに息をします。胸骨や首は動かしません。安定し持続した呼吸の流れを作り出しましょう。
- フレーズの区切りに息継ぎを「静かに」入れ、フレーズの間は息を調節します。
3. 軟口蓋を上げ、明るく響く声を、上の前歯に当てるように出す
- 歌うときは、あくびを大きくするように、軟口蓋を上げます。下あごを真下に下ろすのではなく、むしろ耳側に向けて引くように開け、上の奥歯の奥にスペースを作る様な感じです。
- 明るい響く音を作ります。自分の耳にはっきり響いている時は、遠くへ音が届き、きれいに聞こえています。
- 声は、のどの奥の方で作るのはなく、顔の前の方に出していきます。具体的には、声を上の前歯に当てるような感じです。フランス語の音のような完全な鼻声にしないように気をつけますが、声は口だけから出すのではなく、顔の前部にあるすべての体腔(骨に開いている穴)から出すイメージで。鼻からも息が出ています。
Grand Canyon
4. 高音で歌うときは、雄大な景色を見下ろすように
- 高音で歌うときは、 “Ah” を発音するときのように、より大きく口を開け、軟口蓋をより高く上げて、発声します。
- 子音をハッキ リと歌うことは気にしなくて構いません。
- 決してあごを上げてはいけません。グランドキャニオンを見下ろしているかのように、歌っていきます。すると、あごが自然に下がり、気持ちもリラックスします。
5. 母音は、口を大きく軟口蓋を上げる
- 全ての母音は “Ah” を発声するように、力を入れず、口を大きく開け発声します。
- 子音を強調しすぎず、母音でのびやかに歌っていきましょう。
6. 外国語の歌を歌う場合、最初と最後の子音をはっきりと、単語の間の子音と母音はつなげて
- 最初と最後の音節だけは ハッキリと子音を発音しましょう。たとえば、 “Deo Gratias” の Deo, deo, gratiasのところの “g” と最後の”s”をしっかり発音し、最後の”s”は音の最後にもってくるというように。
- 単語の終わりの子音と次の単語の始めの母音を合わせて1つの音になるよう歌います。たとえば、 “All Things Bright and Beautiful” の All things bright and.. のところは、 All things bright AND.. というように。
7. 曲想と歌詞による起伏を表現する
- リズムを感じ、アクセントになる拍を少し強調しながら歌います。たとえば、各小節の最初の拍を強調するというように。さらにどの曲にも曲想があります。それを表現しましょう。
今、歌っている歌の歌詞を知り、心で感じてください。